ほかにいくつも部屋の余った家だというのに、そこへ泊まりにいくと鈴世はいつも
彼の部屋───と呼ぶと彼はあまりいい顔をしない、乙女チック全開の部屋───に寝させてもらう
眠りにつくその前に、はじめのうちこそほんの少し触れる程度だったのが
いつしか特別なキスをしてくれるようになり───もう、だいぶ日が経つ
滑らかなその舌が、自分の舌に絡みつく
行き場を求めるように肌を這う、指先の動きもとても心地よくて
それだけでなぜだか幸せな気持ちになれた
ぎゅっと抱き合ったまま、同じベッドで眠る。次の朝の光もやさしく部屋を包み込む
───けれど。最近は、いささか事情が異なってきていて
唇を重ね合わせたまま、パジャマの裾から差し入れ、そっと脇腹のあたりを撫でていた手のひらが
ズボンの穿き口にかかったその瞬間、慌てて鈴世はそれを押しとどめた
「──────ん?」
訝しげな表情で俊は、ぷるぷる首を振る鈴世を見やる
少年らしいような、少年らしくないような、きゅっと締まった尻のやわらかな肌を撫でるのが
俊の、最近のお気に入りのひとつだからだ
「どうか、したのか」
「…………んんっ……」
首を振り続けての返事とは裏腹に、じゃあ、とばかりに続行しようとした俊の手を
拒む力はさらに強くなる
わけがわからぬまま鈴世の顔を眺めると、何やら言いづらそうにしながら
頬を染め、俊の顔から目をそらした
人と話すとき、まっすぐに相手の目を見つめる彼が、そんなそぶりを見せるのは珍しい
覆いかぶさっていた身を避け、その隣にごろりと転がる
髪を撫でながら再び静かに問いかけると、ようやく鈴世はすっかり重くなってしまった口を開く
「さ……最近、ぼく……ヘンなんだ」
「変? ……何が」
「……な、なにがって……そのぅ……」
「なんだよ、ハッキリ言えよ」
「う〜〜〜〜……」
「…………。おい……」
悪い病気が伝染ってしまいそうな行為にまでは、まだ至っていないのだが
(───って、まず真っ先にそれを心配してしまうあたり、我ながらどうかと思う
そしてそれ以前に、悪い病気など特に持ち合わせてはいない。……筈)
「……お、おにいちゃんと、キ……キキ、キス、するとね、…………が、あの」
「………………」
「え!? っや…………!」
この期に及んでためらう様子から、なんとなくピンと来て俊は
案の定、じたばたとあばれ抵抗するのをむりやり押さえつけ、ズボンと下着を一気に引きおろす
華奢な脚と脚の真ん中で、見慣れた自分のそれよりも、一回り……二回りほど小さな鈴世自身が
ぴんと気をつけの姿勢で己を主張しているのを見つけ、思わずまじまじと視線を集中させてしまった
「お……、おにいちゃんっっ。見ちゃ、やだ……!!」
「──────あ」
悲鳴まじりのその声に、俊は我に返る
「悪い……つい……」
「“つい”って……。ひどいよ……」
「悪い悪い」
鈴世は、腰の脇に突かれた俊の腕をぽくぽくと叩いた
潤んだ瞳からは、今にも涙がこぼれ落ちそうになり、慌ててぎゅっと目を瞑る
からかうような俊の声音が、妙に腹立たしかった
「……別に変じゃねえと思うけど……ほんのさわりとはいえ、一応そういうことしてるんだし……
学校で習っただろ、それくらい」
「な……習ったけどっ……。でも、なんだかむずむずするし!」
「そういうもんだ」
「それに、ここ最近は! い、今みたいなときのことを思い出すだけで、こうなっちゃって……」
「ふうん……?」
「え? ……ひゃっ」
鈴世の言葉に、なぜか俊はますます気を良くしたように笑った
むっくりと身を起こし、ついでに横たわった鈴世の身を軽々と持ち上げ
開いて座った脚の間に、抱きかかえるようにして座らせる
背中にぴったりとくっついた俊の胸のあたたかさが、お互いのパジャマをも通して伝わってきた
───反射的に鳴り響く自分の心臓の音が、うるさい
「…………そういうとき、どうしてたんだ」
「へ? あ……。しばらくじっとしてれば、おさまるから……おふとんかぶってじっとしてる……」
「おまえ、さ…………」
「な、なに……?」
「…………。その……朝起きたらパンツが汚れてた、とかってのは……ねえの」
「……! な、あ、あ……あるわけないでしょう!? この年でおもらしなんて、しないよっっ」
「いや、そういう意味じゃなくて……。まあ、いいか……」
ふっとため息をもらしつつ、俊は背後から鈴世の手を取る
軽く開いていた脚を、肘で押さえるようにして広げて固定し、その手をするりと中央へと滑らせた
少々落ち着きを取り戻し始めていた茎が、包んだ手の中で勢いよく反り返る
「………………!!」
そればかりではなく、自分の手をも被せたその上を簡単に包み込まれて
恥ずかしさのあまり息ができなくなる
さしてそれを気にするふうでもなく俊は、手の力を心持ち強め、鈴世の手ごと往復させた
数を重ねるにつれて勝手にがくがくと腰がふるえ、体中の力が抜けていく
「……っお、おにいちゃ…………ぁ」
「うん?」
「ぼく……おかしく…な、なっちゃう、よう……! ……っ」
「…………そうか」
「そう、か……じゃ、なくってっっ……。……ふぁあ……!!」
訴えを聞いているのかいないのか。俊は、ほんのり湿り気を帯びてきた先端をつまみ、軽く捻る
気が遠くなるほどの快感に、鈴世は大きく仰け反った
確かに、ある程度習っていたから、先刻、咄嗟に答えてしまった自分の言葉の
根本的な間違いにも、すぐさま気づいたし
今の自分が、何をして・されているのかも、頭では知っていたけれど。───まさか、こんなに
「……き、もちい……っ……! あ、ぁ……おにいちゃあん……!」
「──────」
「あ!」
もう一方の手が、両の珠を包み込む
指と指で軽く挟むようにして、こりこりと撚りながら俊は低く鈴世の名を呼び
耳の裏をねっとりと舐った
熱い息が、鈴世の耳朶をくすぐる。そして次の瞬間、ぱちんと何かが弾けたような気がした
「あ……っあ、あ、……や……、〜〜〜〜〜〜!」
「……っと」
白い飛沫が散り描いた軌跡を、俊は他人事のように目で追った
次いで、その口を潤ませながらひくひくとふるえる鈴世自身を
だらりと下がった鈴世の手を避け、追い撃ちをかけるかのように扱き上げる
驚いたような表情でこちらを向いたその隙をついて、唇を深く重ねる
気を抜けば全てを絡み取られてしまいそうなほど、丹念に口内を伝う舌の動きにも反応して
俊の手の中、それは再び膨らみを取り戻し、先刻の余韻ばかりでなく新たな精を更に吐き出す
果たして自分は、これ以上の行為をさせてしまうことを、どこまで堪えることができるのか
滑る指先を摺り合せながら、頭の片隅で俊はふとそんなことを思う
汗と涙とで顔をぐちゃぐちゃにさせながら、それでも自分にすがりつくこの少年への
愛おしさも情欲も全て、無理やり抑え込むかのように、その細い体を抱きすくめた
* * * * * *
真壁くんと(少年)鈴世くんの距離感が大好きです
二人の間に恋愛要素があろうとなかろうと、めたくそ萌えます。なんだこのふたり!
とくに今は、少年鈴世くん萌えがとまりません。あの美少年っぷりがいいのかもしれません
“おにいちゃん”と言わせたかっただけなのかもしれませんが(^^;
自分にはショタ系萌えはないと思っていたのですが
思わぬ伏兵がいた……なんでいままで気がつかなかったんだ……
061217