柔らかい唇はしっとりと蘭世の唇をおしつつむ。
舌を絡める深いキスも好きだけれど、こんな優しいキスの方が好きだった。
指をからめ、しばらく髪を優しく撫でる俊の肩に身をまかせてみる。
……ありがとう……でも……。
俊の手の甲に軽く唇をあて、心を落ち着かせる。
……私は、あなたに何もしてあげられない。
腕を振りほどいて立ち上がり、病室のカーテンを閉め、電気を消す。
「……?」
シャツのボタンを一気にはずし、邪魔なそれらを全て脱ぎ捨てる。
「……真壁くん……」
行き場をなくしている俊の手を優しく握り、
自分の白い胸に導く。見知った感触に愕然とする俊。
「……!! 江藤!?」
「……愛してる……っ」
胸の震えを隠すように、俊に全体重をかけて共にベッドに倒れこむ。
「や……やめろって! 何やって……」
「…………っっ」
俊の腰に馬乗りになってパジャマのボタンをはずす。
闇の視界で抵抗するが、俊の腕はむなしく空を切る。
「…………江藤っっ!!」
Tシャツをたくし上げ、身体の向きを変えて俊の脇のあたりを腿ではさんで固定する。
手探りでそれを引き離そうとするのを思い切り力を込めて
封じながら、ズボンと下着に手をかけ、一気に引き下ろす。
躊躇したのは一瞬だけ。言葉とは裏腹に固くなりはじめている
そこに舌を這わせ、口に含む。
「……!?……っっ」
びくんと身体に震えが走り、抵抗する動きが止まる。
蘭世は、脚を抑えていた手を滑らせ、自分の鼻先にあるもの二つを
指先で転がす。顔を上下させて奥まで舌を走らせ
口の中で次第に大きくなるそれを愛した。ねっとりと。
「〜〜〜〜〜!」
片手で自分の口をふさぎながらもう一方の手で蘭世の脚を引き寄せる。
すがるような動き。見えないこと、そしてまったくの予想外の行動が
更に俊の感覚を敏感にさせる。でもその甘い快楽から逃れられない。
「……は」
涙と汗が一緒に混じりあい、顔も髪もぐちゃぐちゃ。
蘭世は前髪をかきあげてため息をつき、再び身体の上下の向きを変える。
少し開いたままの唇に唇をよせようとして、
直前まで口に含んでいたものを思い出し、方向転換。耳たぶに軽くキス。
そそり立ったそれに軽く手を添え、それの収まるべき自分の箇所を指で開き
ゆっくりと腰を沈めていく。
「……イタ……」
方向が、微妙にずれているのか、いつもと、違って、なんだか……。
……どうして?
一瞬だけ気を抜いたそのとき、腕を強く引き寄せられる。
「!!」
「……ヘタクソ。……いや、さっきまでは良かったけど。すごく」
かあああああっっ。一気に蘭世の頬に血が昇る。
その隙をついて、形勢逆転。身体を反転させられ肩を押さえ込まれる。
「んな、いきなり突っ込もうとしたって、無茶に決まってるじゃねえか」
開いた内股に、指が滑る感触。思わず声が漏れる。
「……あっ……」
しっかりと腿をおさえ、俊がくすくす笑う。
「……って、あれ、こんなに……。なんで痛かったんだ?」
「やっ……ぅ」
滑り落ちる蜜の筋。白いシーツにしみこんでいく。
片脚は解放されているのに蘭世は力が入らず抵抗できない。
そこをかき回す長い指。
「……んん……っっ! あ……あ」
腰を引き上げられ、俊の動きに翻弄されていく。
「……あ」
俊が布団に顔をうずめ、何かに気づく。
「おまえの髪の香りが、する。……この辺、耳か?」
かぷ。やさしく噛み付いたのは首筋。
「……ま……かべく……んっっ!!」
「あれ」
声を抑えることもできず、絶叫にも似た声をあげてしまう。
「……さっきの元気はどこ行ったんだよ……」
苦笑して俊は蘭世の腰をおさえゆっくりと自分自身を挿入していく。
窓から差し込む陽の光がオレンジに変わる。
胸を伝う一筋の汗がそれを受けて小さく光る。
「……真壁くん、すごく綺麗」
「ん……? 何が」
「真壁くんが……」
「?」
「……残念……」
ぽふ。枕に顔をうずめた蘭世の頭を優しく撫でる俊の大きい手。
「……治ったら、おまえに見せてもらうさ」
しばらく顔が上げられない。