その白い肌に消えることのない傷を刻み込む自分の姿を
夢にまで見る
火照る頬をそのままに微笑む表情を慈しみながらも
同時にその表情が
恐怖の色に染まるのを見たいと思っている自分がいる







堪えられない悦楽の渦から逃れようともがく腕を
骨が軋むほどにぎりぎりと掴み上げてしまいそうな力を堪え
緩く絡めて組み伏せる

しみひとつないその腕に爪を立て力を込めするりと引いたら
できた筋は紅く妖しく映えるに違いない
そんな好奇心にも似た想像をもみ消しながら
薄い唇をあて丁寧になぞる

仰け反った顎を押さえ喉元に力を込めればどうなるか
浮き立った鎖骨に喰らいつき緩やかなカーブと逆に口元を捻ればどうか
或いは我が身を支える腕の力を全て抜いて
鳩尾に落とした顎 それに重みと力を集中させたなら───
深く鈍く響くであろう骨の砕ける音を胸の奥に聞きながら
鼻先を頬を摺り寄せ進む

ほどよい弾力で押し返す乳房を握りつぶしたい衝動を抑え
片方はほぐすように撫で上げ揉みしだき
片方は舌先でその先端を嬲り啄ばんだあと、貪るように吸いつく

全身を走る甘い疼き 吐息混じりの儚い声を零しながら彼女は
なだらかな丘に滞陣する自分の顔を覗き込む
目を合わせようとすれば自然と上目遣いになるそのときの自分の表情が
赤子のようで好きだといつか笑っていた
恥ずかしそうに でもまじまじと見つめながらぱくぱくと喘いだあと
他の誰にも聞こえないほどの小さな声で途切れ途切れに自分の名を呼ぶ
それは
手持ち無沙汰の唇を唇で塞ぐその瞬間をねだる控えめなサイン

「………ま、かべ……くん………」
「………」







火照る頬をそのままに微笑む表情を慈しみながらも
同時にその表情が
恐怖の色に染まるのを見たいと思っている自分がいる

けれど今夜もまたその微笑みが 頼りなさげに零れるその声が
小さすぎる自分の器から狂気の波が溢れ出ようとするのをぎりぎりで食い止めるのだ



だから どうか もっと いつも
他でもない自分の名前だけを呼んで
ぎりぎりの境目をふらふらと紙一重のまま彷徨う自分の行き場は
他のどこでもなくここなのだと示し続けて
胸の奥にしなやかに染み透る春の光のようなその声で