ふと俊が外に目をやったそのときには
先刻から降り続いていた雨がその雨足をかなり強めていて
吹き始めた風に、元々立て付けの悪い窓ガラスがガタガタと揺れていた

窓や道を打ち付ける雨の音、或いは屋根から零れ落ちる雨だれの音───それらに紛れて
遠くでかすかに、低く太い音が響いた瞬間
急いで先に進むでもなく、ただつらつらとお互いの肌を触れ合っていた相手の身体が
かすかにこわばる

「──────ん?」
「……かみなり……」

覗き込むと、いつも以上に白い顔で
問い掛けようとした俊の指と絡めあった指に力が篭り、もそもそと腕の中におさまっていく
まるで小さな子供が大きな犬を目の前に、その身を親の背後に隠すように

「──────あ、そか……」
「〜〜〜〜〜〜〜〜っっ」

それだけじゃ足りないとばかりに、蘭世は自分の耳を塞ぐ
その間に、空に走る閃光と轟く雷鳴
確実に近づきつつある、何よりも苦手なそれに
悲鳴を上げずに済んだのが不思議なくらいだ

音が響くたびにびくりと身を震わせるその恐怖を少しでも和らげるべく
その細い身体をすっぽりと包み込み
申し訳ていどに布団を掛け直し、じっとして雷がおさまるのを待つ
その胸のうちで、ひとつ、ふたつ
稲光と雷鳴の間の時間で雷との距離を測る公式はどんなだっただろう
雷がさほど苦手でもない俊は、暢気にそんなことを考えながら小さく数を数えつづける

「…………」

口に出すのは流石に憚られるが
絶対に自分が護ってやれる、そんな確証があるのならたまには
仔猫のように怯え震える姿を眺めるのも悪くない話で
そんな、ある意味嗜虐的な心を抱えながら祈るべきは
その音が遠ざかることなのか、或いは──────

「…………」

胸の中に渦巻くのは、愛情なのかただの欲望なのかそれともそれ以外なのか
判らなくなるのはこんな時で
愛情なのかただの欲望なのかそれともそれ以外なのか判らない何かに
飲み込まれそうになるのもこんな時







数を数える理由は
雷の距離を測るため、だけでは在り続けず







「う……」

部屋を打ち付けていた雨音が心持ちおとなしくなり
少しずつ少しずつ変貌を遂げる自分自身を抑え込むのが困難になり始めた頃
腕の中でじっとしていた(動けなかった)蘭世が、やっぱりもそもそと顔を上げる

「ご……ごめん、ね……もう、平気……」
「……ちょっとは、遠ざかったみてえだけどな」
「ん……ありがと……」
「別に………」

かぷり
ようやく掌の保護から解放された耳朶に歯を立てて
細めて伸ばした舌先で耳穴の縁を辿る

「……ひゃぅ……っ。ま、真壁く……」
「うん?」
「! ……う……ううん………。……っ」

その身を走る小さな震えは、先刻までのものとは異質のもの
身体の反応をそのまま示すかのように瞬時に紅く染まった頬を枕に押し付けて
浮き立った首筋を唇でなぞるように降りていく
きめ細かな肌にただ触れるだけで達してしまいそうな、先走る自分自身に苦笑しながらも
人のことを言えない正直な反応自体に、心の奥で安堵する



まだ、大丈夫
だって、今の自分はこんなにも



ゆるゆると捏ねるように、鼻先で、指で、二つのふくらみのやさしい弾力を楽しむ
鎖骨の辺りで揺れる俊の前髪を見ながら蘭世は、その導きに静かに身を任せる

時折強められる指の動きに身をよじり、思わず零れるくぐもった声
それすらも吸い取ろうとでもいうように唇を重ね合わせ、口腔内をぐるりと舌で探る
いつのまにか脚は左右に目一杯広げられ、指先は内腿をたどたどしく往復
その幅は少しずつ広くなり、入り口に届くか届かないかすれすれのところでぴたりと止まり
再び膝へと降りていく
焦らすような焦らされるような動きを続けたまま俊は、胸元で遊ばせていたもう一方の指先を忍ばせ
人差し指と薬指で器用に広げた花弁の、奥に佇む突起を軽くトントンと刺激する

「〜〜〜〜〜〜〜〜っっ……!」

ぶるぶるとかぶりを振って逃れようとする腰を押さえ俊は
彼を待ち濡れそぼる蜜壷へ舌を差し入れる
甘くて苦い特有の香りに蕩けそうになるのを堪え、口の周りに蜜が付着するのも厭わずに
ぴちゃりぴちゃりと音も高らかに、こそげ落とすように内部を刺激しながら
たまに歯を立て、ときに吸い上げ、ねっとりと、丹念にそれを味わう

一段高い声を上げ、蘭世は一瞬仰け反り、すぐさまがくりと崩れ落ちる
小刻みに震えながらゆるりと意識を取り落とそうとするのを許さずに
力の抜けた脚を曲げ両膝裏を抑えて固定して
今度はいささか乱暴に、突き刺した指を往復させる

身体の自由を奪われ、なすがままにそれを受け止め、息も絶え絶えになりながら発する声は
次第に懇願の色をも添えて
逸る心をどうにか抑え込み、満を持して俊は、そこへの己の分身の侵入を試みる
蘭世の持つ潤みに任せぬるりと入り込むと、ほどよい広さで包み込んでくる熱さに負けそうになり
思わず息が漏れる
奥深くまで貫いたまま、膝立ちで支えた腰を円を描くように動かす
中だけではなく、最も敏感になっているそこまで同時に刺激されて生じる
気が狂いそうなほどの快感に一気に堕ちていく蘭世を見下ろしながら
後を追うように俊もその瞬間を迎え、汗ばんだ蘭世の胸に顔をうずめる





窓の外で涼しげなリズムを奏で続けていた雨もいつの間にか上がっていて
空を厚く覆い隠していた雲も掃け、白く輝く月が照らす
二人はぴたりと重なり合ったまま、荒く弾んだ息を整えつつ
ゆらゆらと誘うまどろみに、少しずつ少しずつその身を預けていく





* * * * *

2005.9.21 追記

雷に怯える蘭世ちゃん、めんこいだろな〜〜……と、ニラニラしながら書きなぐったこのお話なのですが
嬉しいことに、そんな欲望ほとばしるこの想いを受け止めてくれ、
さらにどんどこどんどこ膨らませてくださった勇者がいらっしゃいます
悠里さん、ありがとうございます〜♪

とはいえ
一度当サイトへ俊蘭をいただいたことがあるものの、悠里さんのホームグラウンドは
やはり 「カル蘭」v
他カプということもあり、対の話をお互いのサイトに持っているってのもなかなか素敵v と思ったのもあり
悠里さん宅でのアップとあいなっております…v

カル蘭も大好物、モリモリ食うよ! という方・そして勿論(?)地下作品ですので大人の方
(ここにいらしてくださっている時点で大人の方だと信じたいですが)、
悠里さん宅 Tokimeki Laboratory へ、マッハGO,GO,GO!
地下のお話 ,『嵐の夜に』 をお楽しみくださいませ…!
(↑リンク先は、表玄関ですので、悠里さん宅でのご説明に沿って突撃なさってくださいませv)