子供の体温は、大人のそれよりも若干高いという
例えば手と手が触れた瞬間、彬水はいつもそれを思い出す
「……ぁ…………、んあ、あああ………っ!! し、新庄さ………」
つかず離れず、たらたらと。焦らしたいが為というよりはむしろ
か細く小刻みに震えるその表情を少しでも長く見たくて、やわらかく漂わせていた舌先にも
とうとう耐えられなくなった愛良は、はじけるように声を上げる
もともとコロコロとよく響くその声はさらに澄み通り
すこしずつ均衡を崩しつつある彬水の理性のど真ん中に突き刺さる
脚を閉じ、その中央に陣取っている彬水の頭から躍起になって逃れようとするのを
力を入れすぎない程度に押さえ込む
一方の手は曲げた膝に添え、もう一方の手は
肩を押そうとしたものの力が入らなくなってしまった愛良の右手を受け止めて
「………ふぁ……っっ………!」
縋るようにシーツを握り締め食い込む指の細さが、妙に官能的に思えた
彬水の働きかけに応えるようにひときわ声が高くなるのに合わせて、くたりとその力が途切れる
点々と肌に触れながら這い登ると、ぼうっと余韻に浸かった愛良の視線とぶつかる
その姿を認めた愛良は一瞬照れたように笑って、おずおずと、ねだるように首をかしげた
彬水はねとねとになった口の周りを拭い───拭ったとはいえ
舌で攻め入った直後というのは何となく気が引けるものだ
遠慮がちに唇だけ重ね離れてみるも、名残惜しそうに口元を見つめる愛良の目と
半開きでおかわりを待つ唇にくらくらと引き寄せられ
甘くて苦い蜜を絡め合う、粘度の高いキスにしばらく酔いしれる
顔をずらし耳朶を齧りながら、再び入り口へと指を伸ばす
先端を捏ねるように弄り続けると、身を捩らせ淡いため息を漏らすその陰で、そこはとろりと蕩け始めた
次第に、ため息が小さく自分を呼ぶ声へと変わる
いつもは、なんだかんだいってもやっぱり子供。甘ったるいベビーフェイスで油断させておきながら
このときばかりは途端に、強烈なまでに女の顔になり焚き付けるのだから、卑怯だ
荒くなった鼻息をどうにか抑えつつ、つとめてゆっくりと、起立した自身を埋め込む
開いていた脚を閉じさせ、挟み込むように絡めて身を重ねると
汗ばんだ肌と肌は、しっとりと吸いつくように互いを認めあった
激しく貫く反復で、一気に達しあうのもいいけれど
穏やかに、お互いだけに浸りながら導きあうのも好きだった (結局のところ、何もかもどんと来いではあるのだが)
静かに奥まで進んで、そこでいったん留まり、首筋に顔をうずめると細い肩が震えた
透き通るような白い肌。それをぱくぱくと甘く噛みながら呼吸を整える
その背に腕を回し、愛良が何かつぶやいた
「………………」
「ん?」
「……さっきの、話…………」
「さっき? ……ああ」
子供の体温は、大人のそれよりも若干高いらしいという話
それを本人に伝えてみたのはつい先刻のこと
とはいえ、相手は、ひと口で子供と呼んでしまうのは大変失礼なお年頃
実際、彬水が口を閉じるか閉じないかのうちに案の定きゃんきゃん喚いて
いつも燃えてるからかな? と笑っていた
「新庄さんも…………あつい、よ。燃えてるの………?」
「………………」
何に とも、何が とも、問われなかったけれど
彬水はありのままを即答した
「そうかもな」
「………………」
「………照れるくらいなら言うなよなぁ……。こっちまで恥ずかしくなんだろっ」
「う…………うんっっ」
人と話をするときは、相手の目を見て そう決めているつもりなのだけれど
こくこくと頷くその顔を、このときばかりは直視することができなかった
誰よりも熱くして、熱くなる。その相手はひとりだけ