いつものように肉体労働を終え、家路につく俊
部屋の窓からは灯りがこぼれ、いつものように主を待っている
ただひとつ、いつもと違っていたのは
「お帰りなさ〜いv」
「…………なんだそりゃ」
出迎えた彼女は、魔女だったのです
…………なんてことはなく
「あのね、文化祭実行委員はみんな、ハロウィンのコスチュームで
文化祭期間を過ごすことになったの」
「…………ふうん」
そういえば、いつだったかのHRで、各クラスから1名ずつ選出される実行委員に推薦されていたのを思い出す
責任感の強い蘭世は、当然断れるはずもなく、当然毎日のミーティングに顔を出して
立派に委員を務め上げていた
今日はミーティングがなかったため、久しぶりのいっしょのごはん
『お前も疲れてるだろ』
そんな余計な……ではなく、物わかりのいい台詞を吐いてしまったため
俊にとっては、まともな夕飯自体久しぶりだった
「でね、わたしは、魔女の格好でずっと過ごそうかなって思ってるのv
横着して、おとうさんのマントかりることにしちゃった♪
ちょ〜っと微妙に違うけどね。まあいいかって」
黒づくめの姿でくるりとターンする蘭世
ふわりとマントが舞い踊り、蘭世の髪の香りが漂う
「……べつにおかしくはねえけど」
「でしょ? うふふ。でね、こっちは自分で作ったのv」
……と、やっぱり黒い三角帽子を誇らしげに見せ、微笑む
「へえ」
手に取ると、とても素人が作ったとは思えない出来映え
頭周りに縫い付けられた黄色いリボンが、黒と対照的に色鮮やかでとても映える
「……けど、これちょっとデカくねぇか?」
ぱふん
蘭世の頭に被せてみると、鼻先まで隠れてしまう
「ん〜ん、このくらいでいいのv 魔女だし♪」
「そんなもんなのか?」
「そう、なの♪ えへへ……Trick Or Treat?」
四つん這いになった格好でこちらに向かいあやしげな呪文を唱える蘭世
手には、小ぶりのジャック・オ・ランタンがぷらぷらしている
「……なんだそりゃ」
シャツの控えめに開いた襟首から、見えそうで見えない白い肌が
黄色いリボンとは異なる意味で、なんだかやけに映えて見える
「お菓子をくれないと、いたずらしちゃうよって意味〜v
外国の子供達は、こう叫びながら町中の家に突撃しまくるんだって♪」
「ふうん……」
「ふふ」
「……じゃあ、お菓子やれば文句言えねえわけか」
「へ? ふむっ!?」
俊は、卓袱台にのっていたクッキーを蘭世の口に半分くらいむりやり押し込み
もう一方をはむはむと齧っていく
ゆっくりと、顔が近づいていき、鼻の頭と鼻の頭が触れ、こらえきれず蘭世が目を瞑った頃には
二人の唇が重なり
半開きになった唇を割って入った舌は、結局、もう半分のクッキーまで奪ってしまった
ジャック・オ・ランタンが頼りなさげに畳に落ち、ごろんと転がるように横たえた蘭世のマントに潜るようにして俊は
ちらほらと見え隠れする首筋に唇をあてる
「……ひゃ……」
舌でてんてんと蘭世の胸元を移動しながら、腰に回した手でスカートのファスナーをおろし、するりとシャツを脱がせる
ストラップをずらしホックを外したブラから零れ落ちた胸に顔をうずめ、香りと味と肌触りを堪能したのち
ゆっくりと下の谷に指を分け入らせようとするのを、慌てて、でも恥ずかしそうに蘭世が留める
「……あ、あのっ」
「…………ん?」
マントとショーツだけを身にまとった姿を眺めながらにやにやと笑う俊
「こ……のままで、そっちまで脱いじゃうのはまずいの……借り物だし……んぅ……っ」
言葉もむなしく俊の指は既に悪戯を始めていた
ぴくんと肩が大きく反応する
「そ、か」
「…………っ……だめだって……ば……ぁっ」
いつのまに移動したのか、中を少し強めにうごめく指先と、淵を弾くように吸い付く舌に
少しずつ蘭世の鼓動が早くなっていく
「〜〜〜っ!……あ…………ッ」
「じゃあ、汚さないように、するか」
俊は蘭世の細い腰を抱え上げ、ふたたび畳に這う姿勢にさせる
背中の中心を舐め上げながら黒い闇の中へふたたび潜り込み、蘭世の背中にぴたりと被さるようにして
さっきから俊の指をなめらかに受け入れている秘所を容赦なく攻め立てる
一枚布を隔てただけで蘭世の声がとても遠くに聞こえ、却って俊を興奮させた
艶を帯びた声がいつもより半音高くなり、支える腕の力が抜け、
腰を高く突き上げるような姿勢でしか蘭世が自分自身を支えられなくなったところで
俊はゆっくりと己を侵入させる
蘭世の声が低くしか聞こえないのと同様に、俊の荒い吐息も黒い闇のおかげで部屋には響かない
「もうっ」
ようやくまともに喋れるようになったが早いか、蘭世は俊の頭をこつんとこづく
「……なんだよ」
「文化祭の衣装だっていうのにっ。これ着てる間中ずっと、今日のこと思い出しちゃうでしょ!?」
「……………………」
下に制服を着ている(だろう)とはいえ
『この姿で文化祭中ずっと過ごす』
…………
「おまえ、ほかの衣装考えろ」
「えええええっ!? あ、ち、違うのごめんなさい。別に真壁くんを責めたかったわけじゃなくて……」
「そういう意味じゃない」
「…………へ?」
どうして?
そう問いかけようとする間も与えず、俊は蘭世をぎゅっと抱きしめる