その日の天気予報は午後から雨60%。



「やっぱり降っちゃったね───」

蘭世と俊は久しぶりのデートの帰りだった。
いつもはビデオで済ますところだが、たまには、とセレクトした映画。
ハンカチ二枚をたっぷりぬらした後に待っていたのも雨。しかも割と強い雨足。
さっきはだまってハンカチを差し出してくれた俊は傘を持っていなかった。
秋の長雨……しばらくやみそうにもない。

「…………」
「わたし、傘持ってるから、コンビニまで行って、傘もう一本買ってきちゃうね。
ここで待ってて!」
蘭世はバッグから折りたたみ傘を取り出しながら言った。
映画館の前のスクランブル信号の向こうにコンビニが見える。


蘭世が傘を開き飛び出そうとした瞬間、

「江藤」

俊が蘭世の腕を引き寄せた。

「へっ?? あ、だって、傘……。」
「いいから」

そのまま雨にぬれるのも構わずすたすた歩き出す。


「やーん、真壁くんったら、濡れちゃうよー」

あせって傘をさしかける蘭世。

「……って、あれ??」

髪も服も、ぬれる感覚が、ない。目の前には確かに雨が降っているのに。

「おれたちの周りだけ、シールド張ってんだよ。」

俊が振り返り小声で言った。


「えええええっっ! すごーい。そんな事もできちゃうのぉ!?」

てけてけ蘭世が後を追い隣に並ぶ。

「ほれなおしたか?」
「うんっっ」
「あ、じゃあ……これはいらないかなあ?」

と、傘を閉じようとする。

「あ」
「え?」

その手をとどめ、傘を自分が持ち、俊は蘭世の肩を優しく抱いた。

「さして歩こうぜ。ぬれねえけど。」
「!」


いやあ〜〜〜〜ん! これって、これって、相合傘!?
たちまち瞳がハートマークになる蘭世に、早速釘をさす。


「さしてないと、変に思われるからな」
「〜〜〜もう〜〜〜。よけいなこと言わなくていいのに〜〜」

たちまち現実にひきもどされた顔。くるくる変わる表情に、
わかりやすい奴……と苦笑してしまう。






たまにはやまない雨もいい、と思ったのはどっち?