外は昨日の雪が解けきらず残っている。
蘭世は窓からそれを眺め、ため息をついた。
タオルとパジャマの下だけという格好で、俊が風呂から上がってくる。
「駄目だよー!そんな格好じゃ!!今夜から明日にかけて、今年一番の寒さなんだって!
お布団敷いちゃった。もう、身体冷めないうちに寝ちゃわない? ねっ」
明日は久しぶりのデートの予定。大分前から伸ばし伸ばしになっていたのだ。
気合十分。ほっておくと昼まで余裕で寝こけてしまう相手をやけにせかす。
いつもは「一番風呂(二人なのだし一番も二番も大して変わらないが)」
は絶対俊に!という姿勢を崩さなかったのだが、今日ばかりは自分が先導して行動していた。
洗い物もすでに食器棚におさまっている。
「はいはい」
苦笑しながら俊はパジャマの上着を羽織る。
場面は暗転───
とはいうものの。時計はまだ11時。寝ようと思ってもそうそう眠れるもんでもない。
暗い中、目をつむっておとなしくしてれば……と思っていたのだが甘かった。
これは……流石にキツイな。でも下手に起き上がったりしたら、こいつうるさいだろうしなあ……。
と、悶々としていたその時。
ぴとっ。
「うわっっ!?」
突然冷たいものが俊のくるぶしに触れた。背中が瞬時に縮み上がる。
「えへへー。」
「なんだよっっ! おまえ、足……?」
冷え切った蘭世の足だった。女性は冷え性が多いと聞くが、そのあまりの冷たさに驚く。
「だってー。真壁くん、あったかいんだもんっっ。
あーあ、靴下もってくればよかったなあ……油断したよー」
と、さらにぐりぐり押し付ける。
「うわああああっっ! やめろってっっ! ばかっっ」
「やめなーい♪」
くすくす笑い、同じくらい冷えた指も頬に触れた。
そういえば今日、珍しく自分は長風呂だった。
その間、エアコンもないこの部屋で、自分をじっと待っていたのだから、身体が冷え切ってしまっても無理はない。
……と、感傷に浸る間もないほどぺとぺと体中触ってくる蘭世。
おとなしくじっとしてた方があたたかくなりそうなものなのだが。
「ったく……じゃあ、体の芯まであっためてやるよ」
「え!?」
俊は自分の布団から蘭世の布団へともぐりこみ、暗がりの中なんとか輪郭だけ見える蘭世の肩を押さえ込んだ。
そのまま、とろけそうなほどに深いキス。
「……あ……」
思いがけない反撃に、蘭世は唇を解放された後でも
おとなしくなってしまう。
その乱れた布団を自分の上から掛けなおし、
俊は蘭世のパジャマのボタンをはずす。
下着をたくしあげ、ふくらみに触れてみると、やっぱり冷えた肌。
「次からは、風呂も一緒に入るか」
俊は小さく笑うと、さっきとは違う震え方をしている蘭世の体中に
唇と舌で自分の体温を移していった。
次の日の午後。
二組敷いてある布団のうち、一組から二つの頭が出ている。
寝たのが朝方なのだから、起きられるはずがない。
こうして予定はいつも先送りになってしまう二人なのであった。
─── 以下、エンドレス ───