雲とピアスとパラダイムシフト
11 ある王兄の一日 -昼餉後:魔界城にて- おまけ
おまけ1:予言的ななにか
「……多様性といえばさ」
「ん?」
「例えば、ココが鈴世とくっついたら……もそうだけど、もし俊と蘭世ちゃんとの子供とくっついたりしたら、生まれてくる子は多様性どころの騒ぎじゃないよね。何種類混ざってんのって話だよ」
「ああ~! そうかもね!」
さらっと流されていたが、彼の家で留守を守っている鈴世が耳にしたら微妙な顔をしそうな話だ
そして、まだこの世に出てきていない存在を相手に想定するというのもなかなか強引な話だが、その『多』は、どこに係ってくる計算なのかと思わなくもない。ココと将来の子供、本人のみなのか、自分たち親の代まで含むのか。だとしたら
「……メドゥーサと吸血鬼はいいとして、おまえとおれはおなじ系統だから……むしろひと枠減るんじゃないのか」
「あっ……」
ふたりは一瞬言葉に詰まり、互いの顔を見合わせた。そして何がそんなにおかしいのか、ニヤニヤしながら俊のほうを振り返った
「出た! やっぱり最後においしいとこだけ持ってこうとしてる!」
「あっ、この子もお腹蹴ってるわよ! ほら!」
「……いやおまえらホント……いい加減にしろよ……」
くいと引かれて腹に添えられた手のひらに、いつも以上に元気な胎動がポコポコ伝わってくるのが何だかもう。親をイジるんじゃない
そんなところはこいつらに似なくていいんだからな。げんなりしながら俊は、じんわりとあたたかくなった手のひらにささやかな希求を込めた
おまけ2:どうやってもだめなものはだめ
「ところで。第二夫人とか、その気もないくせに適当なことを言ったもんだな。そもそもこっちの世界は、一夫多妻制なのか?」
「いや、実はとくに決まってないんだよね。まあぼくの場合、フィラがナンバーワンでオンリーワンだから、第二も第三もないけどさ」
「だろうな」
「まあ、バレてたよね……。俊だって、もし制度的にオッケーだとしても、蘭世ちゃん以外考えられないでしょ」
「…………。まあな」
「……ちょっと待って……。もしかしてあなた、アロンにそんなつもりないって、ここに来る前から気づいてた?」
「え?」
積極的に口を開いてみたところで、イマイチずれた箇所に突っかかってくるというのは一体どういう料簡なのだろうか
このあと、なぜか兄弟まとめてがっつり怒られたのだった