ちょうど三つ巴の形で対峙する
男と女と男
ひとりは
いつも本音を包み隠していつも傷つけてばかりで
おそらく女が最も投げつけられたくなかったであろう言葉まで持ち出した男

ひとりは
おそらく生涯初めてにして唯一愛した女と添い遂げること叶わず
死してなおその女を愛しつづけた男

そしてもうひとりは
その二人の男を交互に見つめ
想い出を振り返り
一番思い出したくない過去を振り返り
目の前にあるふたつの道のいずれかを選択しようとする女



むこうにいるあのひとは
ありのままのわたしであることはいけないという
ありのままのわたしでありつづけないこともだめだという

むこうにいるあのひとは
ありのままのわたしをすべてつつんでくれるという
ずっとどこにもいかずそばにいて
わたしをいつくしんでくれるという

…………それがしあわせ、なのかもしれない



 



「考えがある、といっておいた筈だ」

男の口元に笑みが浮かぶ
その男のほうへと女はゆっくりと歩みを進める

「そこで手をこまねいて眺めているがいい
ランゼがおまえを置いていくのを」
「…………っ」

動くことすら叶わず男は
目の前でその男に抱かれる女を凝視する
かつて自分だけのものであったその女の微笑みが
その男の腕の中で開花していくのを
目を離すことすら叶わず
声をあげることすら許されず

やがて二人が光に包まれ
追いすがることのできない世界へと消え行くまで