きょうは、クリスマス
ままがうでによりをかけてつくったりょうりもけーきも
すっかりたいらげおなかもいっぱい
ぱぱとままはわいんを
卓ちゃんはおれんじじゅーすを、それぞれかたてに
さんにんなかよくりびんぐでおしゃべりしていました
「あなたも、卓も、ごくろうさま」
ままは、ままのせたけほどもあるおおきなツリーをみあげて、すっかりごまんえつ
いろとりどりなおーなめんとのはいちにきをくばりながら
ふたりがいちにちがかりでかざりつけたそれは、かいしんのでき
まどぎわにででんとそびえたち、じこしゅちょうをしています
「えへへへ〜
あ、でも、どあにかざってあるリースも、すごくきれいだよ♪」
「あれはてづくりなんだろう? あいかわらずおまえは、きようだな」
ぱぱは“あいかわらず”のぶぶんをちょっぴりきょうちょう
だって、ぱぱは卓ちゃんよりもながくままといっしょにすごしているのですから
でも卓ちゃんは、どうようするそぶりをまったくみせません
「ありがとう、卓〜♪ あなたもvv
そう、てづくりなの……
ざいりょうをさがしに、いろんなところあるきまわっちゃった
いいおさんぽにもなったけどvv ね〜、卓♪」
「!?」
「うん!」
「わたしが、こえだとかまつぼっくりとかひろってるとき
ずっととなりにいてくれたのよねv ボディーガードみたいに」
「な…………っ」
“ボディーガード”
それはおれのやくめだ!
そういいたいのをこらえてぱぱがふりむくと
卓ちゃんはいっしゅんだけにやりとわらい
そしらぬかおをしてままににっこりとほほえみかけます
「だって、ままは、ぼくがまもるんだもんね!」
「あらら……卓ってば、ありがとうv まま、うれしいなっ」
「…………」
ぱぱのいらいらはいきなりきゅうじょうしょう
ふたりのこころのなかには、クリスマスのかねのおとではなく
きょうもたたかいのゴングがなりひびきます
「あ〜、でも、こんなりっぱなかざりつけだと
サンタさんもびっくりしちゃうかもしれないわね♪」
そんなふたりのようすにはきづかず
にこにことへやをみまわすまま
ままはままで、ろまんちっくもーどぜんかいなのです
「サンタさん……うちにもちゃんときてくれるかなあ?
うち、えんとつないけど、だいじょうぶかなあ?」
卓ちゃんは、もちまえのかわいらしさできょうれつにあぴーる
「ううん、だいじょうぶよ! だってサンタさんはすごいんだもの!」
たしかに、たのまれたわけでもないのに
みずしらずのこどものために
あんなおおきなにもつをもって
このくそさむいなか、かぜやゆきにふかれながら
はるばるやってくるってんだから
あるいみすごいひとだよな
そんなどうでもいいことをかんがえながら
ぱぱは、せおりーどおりのことばをかえします
「そうだな、卓がおとなしくいいこにしてれば
サンタさんはきっとやってくるだろうな
(大人しくいい子に、な)」
そう、ことばだけは、よいおやのみほんのようなことば
そして、卓ちゃんは卓ちゃんで
「え〜、ホントに? ホントにっ!?
(何言ってんの? 僕、こんなにいい子でしょ?)」
ことばだけみれば、よいこどものみほんのようなことばをかえします
「そうよ〜、サンタさんはどこかからしっかり
みててくれてるにちがいないわねvv」
「じゃあ、きょうはままとねる〜♪
そしたら、ままにもプレゼントをくれるかもしれないよね!」
「……サンタさんのプレゼントはこどもげんていだ
(どさくさにまぎれてなに言ってんだこのガキャ〜)」
「そんなことないよぅ〜!
だってままは、いいままだもん〜!! ねえ、まま?」
「あらあら……」
ぽゆんとままのむねにとびこんだ卓ちゃんを
そっこうで、べりっとひきはがすぱぱ
「とにかく!
ままはこどものころ、たくさんサンタさんにもらったからいいんだ
ほらほら、はやくねないとサンタさんがやってこないかもしれないぞ
(ガキはさっさと寝ろっての!)」
「やだ〜〜! ぼく、ずっとおきてて
ぜったいサンタさんとおはなしするんだもん!」
……あれ?
ぱぱのこころに、こつんとなにかがひっかかります
「あら〜だめよぅ、そんなことしたら
サンタさんのおしごとのおじゃまになっちゃうわよ」
「え?」
おもわぬところからのぼうがいに卓ちゃんがぎょっとしたのと
もやもやしたくもがかかったように、かえすことばをみうしなっていたぱぱが
ふとわれにかえったのは、ほぼどうじでした
「だってサンタさんはほかのいえにもいかなきゃいけないんだから、ね」
ぱたん
しんしつのどあをしめたのは
卓ちゃんをねかしつけてようやくやってきた、まま
「ようやく、ねてくれたわ
べっどにはいっても、このくつしたでだいじょうぶかな、とか
でんきはつけてねたほうがいいのかな、とか
ずっとしんぱいしてたの
ほんとこどもってかわいいわね〜……」
そう、ぱぱがひそかにしんしつでうかがっていたのと
まったくおなじじょうきょうを
ままはにこにことうれしそうにはなします
「……そうか」
「くつしたも、とくせいなのよ♪ こんなおおきいの」
と、りょうてでしめしてみせるままをみながらぱぱは
さっきふとかんじた、いわかんのりゆうがわかりかけてきました
「…………そういえば……」
「ん?」
「おまえ、どのくらいまでサンタクロースがいるとおもってた?」
いつまでもおきてるとサンタさんにあえないぞ、ということばに
ほんきでくいさがってきた卓ちゃん
サンタさんのおしごとのじゃまになる、ということばに
おとなしくしたがった卓ちゃん
「う〜ん……うちは、おとうさんもおかあさんもがんばってくれてたから
だいぶあとだったけど……あなたは?」
「ああ、おれはまあ……ませたガキだったからな
そういうのをしんじてるってことじたい、はずかしかったっつうか……
それに、おふくろにそこまでがんばらせるのもなんだかな、と
おもってた、ってのもあるし」
てっきり、卓ちゃんもそのちょうしで
サンタなんていない、とわかっているとおもっていたのに
「そっかぁ……ワルだったしね」
「うるせえよ」
べっどにすわったぱぱのとなりにままはこしをおろし、つづけました
「……卓が、できればずっと
サンタさんがいるんだよってしんじていられるくらい
わたしたち、がんばらなきゃね」
「…………ん…………」
しぜんにからみあうゆびとゆび
ふいに、ままはふわりとほほえみます
「うふふ」
「……なんだよ」
「ううん……『サンタさん』はいないけれど
わたしのほしいものをすべてくれるひとは、ここにいるなあっておもっただけ」
「…………」
むねのおくがあつくなったのは
さっきまでのんでいたわいんのせいじゃないのでしょう
だって、ぱぱのほしいものをすべてくれるひとが
めのまえにいるのですから
おたがいのほしいもの・たりないもの
それをおぎないあってきたふたり
ゆっくりとふたりのかげがかさなって
こんやも、おたがいがおたがいをもとめあうのでした
そしてつぎのひのあさ
「わ、わるい……ねすごしちまった……
卓へのプレゼント……はもうおいててくれたみてえだな。さんきゅ」
もそもそとべっどからはいだしたぱぱは
となりでまどろむままにおはようのキスをしながらささやきます
卓ちゃんがねむりにおちたころ
ぱぱサンタとままサンタになって、こっそり卓ちゃんのまくらもとに
ぱぱがかっておいたプレゼントとままがつくっておいたプレゼントをおきにいこうね
そんなやくそくだったのです
……きのうのひるままでは
「……え? わたし、しらないわよ?
だってわたしもいまのいままでおきられなくて……
わたしからのプレゼントの、さんにんおそろいのマフラーとてぶくろも
ほら、ここに……って、あら?」
と、ねぼけまなこのままがゆびをさした
しんしつのてーぶるにおいておいたプレゼントは
こつぜんときえていました
あれ? どこかしら……と
あたふたさがしまわるぱぱとままのみみに
ぱたぱたぱた……
こともべやから卓ちゃんがかけてくるあしおとがきこえてきます
「まま! ぱぱ! サンタさんがきてくれてたよ!」