昨夜のように激しく愛してくれる時間も大切だけれど、
その後、俊の腕の中でまどろむ時間が一番好きだった。
がっちりとした腕に身体を預けて眠り、ちょっとだけ早く目覚めて、寝顔を眺める。
いつも凛とした態度の彼の、こんな力の抜けた表情を見るのは、世界できっと自分だけ。
独占欲はあまり強くないほうだと自分では思ってたのに、そうでもないみたい。
ひとりじめ。
そんな単語を浮かべ、どうしても顔がにやけてしまう。

「……ん……」

エヘヘ。かわいい♪ どんな夢見てるのかな……
……私の夢? なんちゃって♪
もつれた前髪に指を絡め彼が起きるまでもう少しだけ楽しもう、と
彼の寝顔に向けた視線の端に。
頭のすぐそばにおいてあるめざまし時計のすぐ横に。
なにやら、白っぽい、物体。

「……???」

うんしょ。手を伸ばしてそれを手に取る。くにゃりと、ビニールのような、ゴムのような感触……

「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

声にならない。
ゴ、ゴゴゴゴゴムはゴムでも、あのゴムじゃないのこれって!!
ひゃあああああ。
向こうに投げてしまいたくなったが、例の液体がほんのり残ってるので
それをぶちまけてしまうわけにもいかず、かろうじて手にとどめる。

……こ……こういう、もの……なのね……。
大概、暗がりの中もそもそと(でも激しく)愛し合っていたので
実物は見たことがなかったのだけれど……。
ましてや使用済のそれなんてもってのほか。
……案外薄くて、すごく、伸びる……まあ、あのサイズを収めるんだし……

って、何考えてんの私!!
紅くなった顔を両手で覆おうとして、はたと気づく。あぶないあぶない……。

……どうしよう……これ……。
とりあえず、ティッシュでくるんで捨てればいいかな……。
と、ちょっと遠くにある箱に向かって布団からするりと抜け出す。
その瞬間、腕枕が目を覚ました。

「……? 何やってんだおまえ……」
「あ…………」

ぴしっ。
ティッシュを一枚抜き取ったままの状態で固まる姿勢。
……の、思わず握り締めてしまった手元から覗く物体を見つけ、絶句。そして爆笑。

「お、おまえ……何持ってんだよっっっ。……ぶっ……」
「いやああああ。だ、だって見つけちゃって……さりげなく捨てておこうと思ったのに〜〜〜〜! なんで目覚ますのよお〜〜!! ていうか、握っちゃった〜〜〜っっ」

ふにふにした感触が、なんだか手の中に残り、やな感じ……。


* * * * *



時は変わって。

「……ん……真壁くん……っっ」

俊の愛撫にもうとろとろな蘭世がいる。そろそろご登場願おう、と背を向け
ごそごそとあらかじめ布団の下に隠してあったそれのパッケージを破く。
……と。背後から、かなりじっとりとした視線。

「…………?」

興味津々。それを隠そうともしない眼差しと、まともにぶつかる。
さっきのとろけ具合はどこへやら……。

「エヘヘ……」

ていうかやりづらいんだよっ。

「〜〜〜おまえ、そっち向け」
「え〜〜〜〜なんで〜〜〜〜」

……雰囲気読めよ……。

「…………じゃあ、おまえつけてくれんのかよっっ! ほれっっ!」

ぐるり。俊は意味なく膝立ちで蘭世のほうに向き直る。勿論手は腰。

「ひゃあっっ!?」

あわてて蘭世はシーツの海に逃げ込んだ。