あれから二人、交互にお互いの家を行き来した。
会う時間がその度に長くなり、遅くなり……そして今夜は。
お互い、申し合わせたわけじゃないけれど。
なんとなく、帰りがたくて、見送りがたくて、この時間で。
「泊まって……いくか?」
ようやくジョルジュがこの台詞を口にした頃には、夜明けの方が近かった。
サリだって、その台詞の言わんところを判ってないわけじゃない。
なんとなく、そんな気がしていた。今日この部屋に来た瞬間から。
なのに、心臓が高鳴る。何か喋ったら、口から心臓が飛び出しそう。
お得意の、頭をぽりぽり掻くしぐさでジョルジュが近づく。
「……ん〜と……。やっぱ、恥ずかしい……か?」
かちん。
……なに? その、おれにまかせとけ、みたいな態度!!
お約束の逆上。
「……わたしは蘭世みたいに純情じゃないからね!!
Θυσだって舐められるし! お好みとあればΨЩζだって……!!」
「…………」
放送禁止だってのそれ。……別にいいけど……。お、いい脱ぎっぷり。
「服だって自分で脱ぐし脚だって自分で開くわよ!
キャッ♪ なんて顔赤らめる歳でもないし
そんな可愛げなんて元々持ち合わせてないのよ!」
サリは白い肌を惜しげもなくさらし、自らベッドに横になる。
言葉とは裏腹に速度を速めていく心臓……鎮まりなさいってば!!
ふう。
ジョルジュはそれを見て、ため息をつき、自分も服を脱ぎ捨てる。
「な……に、ため息ついてんのよ!? バカにしてんの!?」
「…………」
ゆっくりと、サリの細い身体に馬乗りになる。
きしむベッドの音。
顔から腰のあたりまでゆっくりと視線を走らせるのが判る。
思わず胸に腕を回す。
くすりと笑い、ジョルジュはその腕を自分の背に回させる。
「や……ちょっ……!」
「…………ちょっと……いや、しばらく黙ってろ。気が散る」
「え? ……あ」
長い、たくましい、腕が、サリの肩に添えられる。
ゆっくりと唇を重ねる。長いキス。
「……おまえのままがいいんだよ」
「…………」
包まれていく感覚。身体ごと、心ごと。
ああ、この、胸だ。
わたしはこの広い温かい胸に恋をしたんだ。
…………。
??? なんか……鼓動……早い?
「……判っていただけましたでしょうか」
「…………」
「おれだって……年甲斐もなくドキドキしてんですよ。
本気なのは、久しぶりなもんで」
「…………」
「……聞いてるか?」
「…………黙ってろっていったのはそっちでしょ」
「っか〜〜〜〜……。可愛くねえ……」
「ふんっ」
サリは、ジョルジュの手のひらを自分の胸に触れさせる。
白い、ちょうどよいサイズのふくらみが小刻みに震えている。
「…………」
視線をそらしてぽつりと一言。
「……早く……大人しくさせてよ……」
「……よ、よっしゃ」
……あんたは江戸っ子か。そんな突っ込みも忘れてしまうほど
情熱的なジョルジュのすべての動きに、ぐいぐい引き寄せられていく。
大人の恋と割り切って、
子供の恋の一途さは持たないつもりだったのに。
気が付けば、四六時中、甘く切ない誘惑に酔っている自分。
「あ……」
ねっとりと攻め入る舌。触れられるのは初めてじゃない。
彼が初めての人じゃないし彼だってわたしが初めての人じゃない。
弱いところ。お互いに判っているからこそ声が漏れる。確実に正解を見つける。
自分でも、おかしいと思うくらい濡れているのは、誰でもない、この人だから。
……こんなこと、今まで思ったことあったかしら?
ゆっくりと入り込んできたジョルジュを受け入れ、
サリはなんだか微笑んでしまう。
「……ん?」
「ううん……」
「……案外小さい、とか思ってんのかと思った」
「バカ」
ゆるいウエーブのかかった豊かな髪に指を絡め、サリはその唇を
がっしりとした肩に押し当てる。
「……もち……いいの。……もっと……」
それだけ言って、紅潮した頬を隠すようにジョルジュにしがみつく。
「…………」
ジョルジュは、細い、でも今は挑発的ともとれるほど妖しく誘う自分の腕の中の彼女に
他の誰にも聞こえない声でささやいた。あいのことば。