「おとうさ〜〜〜ん! おかあさん、のぼせちゃったみたい〜〜〜!!」
その声にあわてて俊が風呂場に駆け込むと
ぐったり湯船に突っ伏した蘭世が目に飛び込んできた
愛良はすがるような目で俊を見つめている
「おい! 大丈夫か!?」
「あ……あなた、だいじょうぶ……」
「お化粧の話してたら、いきなり真っ赤っ赤になっちゃったのぅ〜〜〜」
「化粧?」
こっくり、頷く愛良
涙目になりながらも体にはしっかりタオルを巻いている
そういえば最近、風呂に一緒に入ろうとか誘われなくなったな……なんて思いながら
とりあえず蘭世を寝室に運んだ
「で、化粧の話って?」
「うん……」
横になり、どうにか回復してきた蘭世が風呂場での一部始終を話し始める
俊は隣に座り、うちわで柔らかく風を作る。火照った体に気持ちいい
「……というわけなのよ……。言えないじゃない? 愛良にもお友達にも
私のお肌の秘訣は…………なんて…………。あ〜もう、どうしたらいいかしら」
「さあな……」
俊は半笑いで見返すばかり。全くもって責任を感じていない
「やっぱり、ちょっと明日お勉強してくるしかないかなあ……
丁度予定も入ってないし」
「そうだな」
ぱたん
俊はうちわを棚にしまうと、笑いをかみ殺しながら蘭世の上にのしかかる
「とりあえず、その『かおりちゃんのおかあさん』の期待を裏切らないようにしておくか」
「〜〜〜〜!! もう〜!!」
……秋の夜は長い