その小高い丘に立つと、その街が一望できる
少年は、その景色が大好きだったから
今日もそこに立ち、ぼうっと眺めていた
あの日とは違い、やっぱりひとりで
髪のキレイなひとだ
そう思った
そのときは、それだけだった
それから一度も見かけることがない、あのひと
あの日と同じ姿でいたならば、道行く人波に霞んでしまうほど小さな自分のことも
見つけてくれるかもしれないと
外に出るときにはいつも、あの日のマフラーをつけて歩いた
すれちがいざまに軽やかに揺れるいくつもの長い髪に、期待を込めて振り返ってみても
少年の顔に浮かぶのは、落胆の色だけ
もう二度と会えないのだろうか
胸の奧が、きゅっと痛んだ
いつもちょっぴり寂しくなる、ごはんどき
あのひとと手をつないで歩いたあの日だけは、ちっとも寂しくなんかなかった
けれど今は、宙ぶらりんの指先が寂しい
心なしか、いつもと同じはずの夕日ですらも、なんだかもの哀しく思えてきて
少年はぶるぶると首を振り、再び街を見渡す
目を凝らしたら、もしかしたら、あのひとを見つけることができるのではないかと
万にひとつもない可能性に願いを込めて
けれど目に飛び込んでくるのは、いつもと同じ街並み
少年の大好きな、とっておきの景色
この“とっておき”を教えたのは、あのひとがはじめて
あのひとは、この眺めを気に入ってくれていた
それがすごくうれしかった
自分の“とっておき”をもっと教えたい、知ってほしい
──────また、会いたい
「………………」
もうそろそろ、帰らなければ
けれど、もうすこしだけ
きびすを返し、ぱっと走リ出す膝小僧を、つめたい風が吹き抜けていく
日は静かに沈む
少年の住む───もしかしたらあのひとも住んでいるのかもしれない───この街を、茜色に染めながら
* * * * *
このタイトルは、彼(のお話)を書くしかないでしょ!
だったらこの期間中にアップでしょ! と
朝、唐突に思い至り、萌えに任せてががっと書いたものです
チビ俊くんはやっぱりいいですね。あなたホントにあの真壁くんになっちゃうの?
と言いたいくらい(笑)
というか仮にも誕生日を祝っているんだからもっと甘いお話を書けと…