色々100のお題 Type3 07:踊りましょう
「いいひと」だとか、「やさしい」だとか。おおよそ自分にはそぐわない形容をぶつけてくる彼女は、泳げないといいながら超高速で海を泳ぎきってみたり、そうかと思えばまんまと溺れてみたりと、なんだかよく分からない
分からないなら分からないなりに、目の届かないところで勝手にやってくれれば気にもならないものを、斜に構えた自分にいつもまっすぐ飛び込んできて、ふと気がつくといつも、視界の端だったりど真ん中だったり、勝手に幅を利かせているから性質が悪い
そう、たった今も。キャンプファイヤーの輪からわざわざ抜け出してきて、仁王立ちで何を言い出すのかと思えば、みんなで仲良く踊りましょう、ときた
早く大人になりたい、もっと強く在りたい。そう思うのだ。自分を守るために、また自分だけでなく大切なものをこの手で守るために
そのための努力は惜しまない。趣味と実益を兼ねたボクシング然り、いつの間にやら百戦錬磨になりつつある喧嘩も然り。いつもひとりで居る・ひとりになるのは、単にその副産でしかない。「お友達」と馴れ合っている暇など自分にはないし、ましてや、自分の弱みをもらすだなんてもってのほかだ。そう思ってやってきた、それが当然だと思っていた。これからもそれは変わらない。―――筈、なのに
よりによって自分が、お手々つないでランランラン♪とばかりにフォークダンスに紛れ込んでいるなんて、何の冗談だ
彼女がそこにいるだけで、ことごとく調子が狂う
それまでしたこともないようなことをしたり、ごく当たり前のものとして受け止めていたことを考えさせられたり
けれどもそれは煩わしくなく、最近に至っては、むしろ心地良くなりつつある自分がいる
くるくると踊る輪の中に、彼女の誘いもないまま自発的に入っていくような真似は、これからも決してできないけれど