その手の報道・醜聞は、本人の意思には関係なく、事実よりも娯楽性が優先されて
面白おかしく書き立てられているだけだということも、なんとなくではあるが判っているつもりだし
興味本位で追いかけ回され、外に出ることすら難しいことに対して
大変だなと思ったのは本当だ

得意だった筈の、皮肉めいた言い回し。けれどあのときに限っては
言葉のトゲは思った以上に鋭くて
刺さったその根深さを示すかのように、白いタオルは勢い良く俊の顔面にヒットした





変装までして、彼女が自分にいったい何を伝えたかったのか
乱れた息につっかえながらの言葉よりも、あとからあとからぼろぼろとこぼれ落ちる涙が
より明確にそれを示す

もともと彼女に非はないのだろうし、それこそ“人の噂もなんとやら”
黙っていればそのうち勝手に消えるのだから、放っておけばいいのだ
大体、彼女がどうあろうと、自分には関係のない話。なのに、なぜわざわざやってきたりしたのか
別につきあっているわけでもなんでもないのだから、彼女が自分に遠慮するいわれもない筈なのに。なのに



本当は、必死に否定する姿を見たかったのかもしれない



それまで見たことのなかったような泣き方をさせてしまった胸の痛み。それは確かに感じられるというのに
彼女の涙に、どこか妙にほっとさせられている今の自分は何なんだろう