以下、ちょっぴり趣向が異なる気がするので、ワンクッション置かせてください

当サイトにおいて、カプ表記(“俊蘭”とか“卓ココ”等の表記)は、
最終的にどっちが挿れるか挿れられるかで区別して記載しています
……ので、以下に置いた話のカプ表記も“俊蘭”としていますし
実際私としては“俊蘭モノ”と思っているのですが
中には、嫌悪感を持たれるような方がいらっしゃるかもしれません



ハアハア言わされる真壁くんなんて見たくないわ
という方は、このままUターンしていただけますようお願いします



オッケーオッケー読んでやろうじゃないの、という方のみ
スクロールよっしくです























・淵瀬:川の深い所と浅く流れの早い所。世の無常。


* * * * *







ひとっ風呂浴びて戻ると、布団に寝かしつけておいたはずの彼女は
むっくりとその身を起こし、やっぱりにへらっと笑った

「気がついたか」
「うん! おふとん、ありがとうねっっ」
「ああ……」

ひと眠りしたせいなのか、先刻よりも滑舌が良く、動作も機敏になった
壁に寄りかかり腰を下ろした俊の目の前にてとてとやって来て
立てた膝を割って入り腰を下ろす
軽く羽織ったシャツと、洗い髪を拭うタオルから覗く、へその辺りを
じ──っと、じ─────っと見つめたあと、おずおずと指差した

「さ、さわっていい?」
「は? …………どうぞ」

本人の許可に妙に嬉しそうに蘭世は微笑み、まず、つんつんとつついて
改めて手のひら全体でそっと触れる
びくともしないのを確認するかのように、力を込め押しつつ
うっとりとためいきをついた

「わたしもね、最近、寝る前に腹筋してるのよ。でも、こんなふうにはならないだろうなあ……」
「……いや……できればほどほどで……」

彼女の場合むしろ、筋肉ではなく肉を付けてもいいくらいだと思う
それに、適度にしまった体であることに越したことはないが
なんとなく彼女には、やわらかな体でいて欲しかった
────もちろん、やわらかくなくなってしまったとしても
今の気持ちが何ら変化するわけではないのだが

「エヘヘ」
「お……おい」
「どきどき言ってる……ふふ」

しばらく腹を撫でていたかと思うと、そのてのひらをするりと忍び込ませ、シャツをたくし上げる
結果、露わになった胸元に、ぺったりと耳をくっつけて蘭世は笑った

「………………」

幾度となく体を重ねたにも関わらず、彼女からこういったアプローチをしてくることは珍しい
ましてやこんな、あからさまにスキンシップを求めるかのような動きなど、もってのほか
その行動原理を挙げるとしたなら、大半が、酔ったイキオイというものなのかもしれないけれど
俊の脳裏には、先刻耳にした楓の言葉がよぎった



“会えて”“嬉しかった”

──────逆を言えば、それまでは“会えなくて”“哀しかった”ということだ



胸元に顔をうずめ、飽きもせず、猫のように頬を擦り寄せ続ける蘭世の背に
俊はそっと腕を回す

「時間、作れなくて………………すまない」

ため息まじりに、ようやっとそれだけ口にすると、蘭世の動きはぴたりと止まり
なぜかむうっとふくれっつらをして、俊の顔を見上げた

「あのね、真壁くんはそういうこと言っちゃ……だめなの」
「…………は?」

こんな遠回しな言葉でさえ、自分にとっては大騒ぎな話だったのだが
なにかずれていたのだろうか
いまいち要領がつかめずに、思わずその顔をただ見返してしまった
そんな俊の心境を察したのか、蘭世はぺろっと舌を出し、肩をすくめる

「……もちろん、言ってくれればすごく嬉しいんだけど……
くせになっちゃうから、だめなの」
「くせに……って」

諭すようにそう言われたものの、鈍感な自分には、ますますわけが判らなくなる

「今もね、十分しあわせだなって思うの。ぜいたくなくらい
でもね、下手にそれに慣れちゃうと、もっと、も───っと……ってなっちゃうの」
「………………」

ふう、とためいきをついたその表情には、“ぜいたくを求めるには心もとない現状”を
責めるような色は微塵も見られない
半ばホッとしつつ、けれど逆にそれが自分のふがいなさを浮き彫りにしているようで
俊は言葉を失った

「……エヘヘ。今はね、そんなぜいたく病の自分に、すっごい自己嫌悪中なのでした」

そっと目を伏せ、蘭世は続ける
その指先は、ゆっくりと俊のジーンズへと伸び、意外にすんなりと釦を外した

「え……、お、おい江藤……」
「わたしが勝手にすきすき言ってるくらいで、ちょうどいいと思うのね」
「は? ……うわ」

ある意味、意表を突かれっぱなしの彼女の言動に
うろたえを隠し切れない俊の呼び掛けには応えることなく、蘭世は
次いでじりじりとジッパーを引き下ろす
はからずも、その間に腰掛けられているせいで、ある程度以上は閉じることができない膝を
肩で押さえながら、開いた窓へと手を差し入れた

「だから、たまにわたしがおかしくなっても、バーカって笑ってあしらって欲しいの」
「あしらうって……。だ、だから、やめ……」

口にした言葉とは多分別のことを、一瞬考えるようなそぶりを見せ
蘭世は結局、俊の腰のあたりへと手を戻す
防ごうと伸ばした手の力は、ぎりぎりのところで本気にはなりきれず
均整のとれた体は、こんなときに抵抗する障害すらも持ってはおらず
トランクスの穿き口から入り込んだ蘭世のてのひらは、容易にそれへと到達した





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